セルロースってどんな素材? 特徴をまとめました
突然「セルロース」と言われても「ん?聞いたことがあるような、ないような。。。」と思いますよね(^_^;)
食品添加物としても使わてれいるので、食品のラベルで見たことがある、という方もいらっしゃるでしょう。
しかしセルロースは身近なところにたくさんあります。
例えば繊維。
今回は食品添加物としてではなく繊維素材としての「セルロース」について、どのようなものなのかその特徴などをご紹介したいと思います。
セルロースとは??
セルロースとは植物細胞の主成分で食物繊維の一種です。
セルロースは、ブドウ糖という糖分がつながったもので木や紙もセルロースからできています。
いきなり訳が分からなくなった方も少しだけガマンしてください。
簡単に言うと、セルロースは植物が原料ということです。
例えばゴボウを想像してください。
食べるととても美味しいだけではなく「食物繊維が豊富」などと言われています。
ゴボウの繊維質な感じは思い描けましたね。
ゴボウには人間が腸内で消化できる繊維と、消化できない繊維がたくさん含まれます。
この消化できない方の食物繊維が「セルロース」です。
消化できない食物繊維は整腸作用が期待できるとも言われているので「消化できないものを食べるなんてナンセンス!」とは言わないでくださいね。
さて話が逸れましたが、消化できない食物繊維=セルロースをもっと細かく細かく分解していくと、糖分がつながって出来ていることが分かるのだそうです。
先ほど人間の腸では消化できないと書きましたが、草食動物はこれを消化できるそうですよ。
草も木も、木材を原料にした紙も、その成分の半分ほどがセルロースでできています。
どうりで山羊は美味しそうに紙を食べるわけです。
いかがでしょう、ここまででセルロースが植物性であることが分かりましたね。
再生繊維とセルロース
再生繊維??
また難しい言葉が出てきました(^_^;)
繊維は大きく分けて【天然繊維】と【化学繊維】に分類されます。
天然繊維は読んで字のごとく天然のもの ― 綿や麻、シルクやウールなどです。
先ほどセルロースは植物性であるとご紹介しましたが、これは天然繊維でしょうか?
残念ながらセルロースはそのものをそのまま繊維にすることは出来ません。
化学的に溶かして繊維状に「再生」してから織ったり編んだりします。
この化学的に処理する過程から化学繊維に分類され「再生繊維」と呼ばれています。
セルロース繊維
再生繊維としてのセルロース繊維には
・レーヨン
・ポリノジック
・キュプラ
・リヨセル
があります。
全ての化学繊維の中で一番初めに誕生したのが「レーヨン」です。
レーヨンの魅力は何と言ってもそのしなやかな光沢感でしょう。
19世紀後半、当時貴族階級など一部の人しか手に入れることのできない「絹」を何とか人工的に作ることは出来ないかと研究されていました。
1884年にフランスで人工絹糸の発明に成功したことがレーヨンの始まりです。
日本でも20世紀初めごろから開発され、盛んに製造されるようになります。
帝人(帝国人造絹絲株式会社)や東レ(東邦レーヨン株式会社)、クラレ(倉敷レイヨン株式会社)など、今でも現役の大手企業ですよね。
セルロース繊維の特徴
レーヨンは「光る糸」という意味で、もともとは高価なシルクを人工的に似せて作った繊維です。
ではその特徴は
・光沢がある
・染色性が高い
・ドレープ性が高い
・ひんやりとした涼感がある
などが挙げられますが、弱点もあります。
・シワになりやすい
・摩擦に弱く、強く擦ると白化(表面の繊維がぼそぼそして白っぽく見える)することがある
・水に弱く、洗濯に失敗して極端に縮むことがある。スチームアイロンも厳禁
などです。
レーヨンから始まったセルロース繊維の開発は、この弱点を攻略することが課題でした。
水にも強く、摩擦にも強い再生繊維開発は、ポリノジックやキュプラ、リヨセルなどを生み出し、価格の手頃なものから高級品まで様々あります。
ドレスのようなドレープが美しい衣類からコートの裏地まで、セルロース繊維は大活躍しています。
セルロース繊維はもともと植物性ですから、最終的に土に還ります。分解されて堆肥になるということです。
また燃やしても有害物質の発生が少ないとのこと。
この辺りがナイロンやポリエステルなどの合成繊維との違いかもしれません。
「化学繊維?石油系原料なんじゃないの?」と思っていた方も、全ての化学繊維がそうではないこと、再生繊維は環境にも優しいことをご理解いただければ幸いです。