「キャメル」のセーター、「キャメル」のコート、 キャメルはどんな特性をもつ素材なの?
よく「キャメルのコート」なんて言葉を耳にすることがありますよね。
今回はこの「キャメル」についてご紹介したいと思います。
キャメル素材とは
ラクダの毛
キャメルとは、その名の通り「ラクダ」です。
ラクダの毛を使っている素材をキャメル素材と呼びます。
ラクダには2種類いますよね。
コブが一つの「ヒトコブラクダ」と、コブが二つの「フタコブラクダ」です。
これら2種類のラクダは生息域が違います。
ヒトコブラクダは西アジアやアフリカあたりの暑く乾燥した地域に、そしてフタコブラクダは中国北部からモンゴルあたりの寒冷地に生息しています。
キャメル素材に使われるのは、フタコブラクダの獣毛です。
春になって抜け落ちた毛を集めて、太くて固い「刺毛(さしげ)」と下に生える細くて柔らかい「キャメルヘア」に分けます(なんと手作業で!)
こうして採取されたキャメルヘアは、洗浄、整毛、紡績と段階を経て製品化されます。
キャメルは貴重な高級品!
キャメルはアルパカやヤクなどと同様に、自然に抜けた冬毛やブラシをかけて取れる毛しか採取できませんから、圧倒的に量が少く、たいへん高価です。
羊毛に比べるとわずか 0.14%と言いますから、その希少性は凡そ1000倍!
なかなかに高級な素材なのです。
「キャメル色」と「キャメル素材」
キャメル素材は希少であるとご紹介しましたが、コートやジャケットなどでも「キャメル」という表示をよく見かけますよね。
これはラクダの獣毛(キャメル)の色味に秘密があります。
ラクダの毛は染色性が悪くあまり色が乗らないため、染色をしないでナチュラルカラーを製品化することが多いのです。
そのためゴールドがかった黄土色を「キャメル色」と呼ぶようになりました。
コートやジャケットなどの売り場で目にする
「ウール100% キャメル」という表示は、
素材は羊毛100%、色はキャメルということになりますね! 素材はウールであってキャメル素材ではない、と理解しておきましょう。
キャメル色と言えば、昭和頃までは「ラクダ色」とも呼ばれていましたね。
おじいちゃんに「ラクダのシャツが欲しい」と言われたら、キャメル製のニットなのか、ラクダ色の肌着なのかをしっかり確認した方が良さそうです。
キャメルの特性
キャメルの毛はカシミヤよりは太く、羊毛より細いため、カシミヤのようなトロリとした柔らかさよりもややコシがある手触りと、羊毛のようなチクチク感が少ないことが特徴でしょう。
また保湿性・弾力性に富み、軽く、光沢感がある美しさも魅力のひとつです。
吸湿性は現存繊維の中で最も大きく、放湿力は羊毛よりも優れていると言いますから、コートやジャケット、セーターやカーディガンなどの衣類だけでなく、敷布団の中綿としても最適と言えます。
キャメルのお手入れ
高級なコート、憧れますよね(^_^)
軽くて温かく、吸湿性も放湿性も高いということは当然着心地も良い、しかも光沢も美しいキャメル色!
これは大切にしたい一着ですね。
日頃のお手入れが重要ですよ。
毛玉予防
キャメルは獣毛の中でも毛足が長いという特徴があります。
このため表面の毛乱れが起きやすいという難点があります。
毛玉にならないよう、一度着た後には必ずブラッシングをして毛並みを整えておきましょう。
また素材の特性を活かすため、繊維が甘撚りになっているものが多く静電気が発生すると毛が抜けやすくなる場合があります。
静電気防止スプレーなども活用できるかもしれません。
温かくて軽いとっても良い素材ですから大切にお手入れしましょう。
お気に入りの衣類のお手入れはクリーニング店にお任せください(^O^)/