「ヤク」のセーターや「ヤク」のストール、「ヤク」ってなに?どんな素材?どんな生き物に由来しているの?
ニットにも色々ありますよね。
ウールをはじめカシミアやモヘア、アルパカ、アンゴラなどはよく耳にします。
ところで「ヤク」はご存知でしょうか。
ヤクのニットについて今回はご紹介したいと思います。
「ヤク」って何??
何語なのか何の動物なのか分からない感じの名前ですね(^_^;)
「ヤク」の学術名は「ボス・グラニアンズ」といって、ウシ科の大型動物です。
インド北西部やチベット、パキスタン北東部、ネパールなどに生息しています。
高地でいかにも寒そうな地域に住んでいるこの動物の英名が「Yak(ヤク)」なのです。
結構貴重な動物
食肉としても味が良く、乳も採れ、毛も革も利用できることから乱獲され、今から60年ほど前には生息数が3,000~8,000ほどにまでなり絶滅が危惧されたほどでした。
現在では家畜化が安定し数も増えているようです。
日本に入ってきたのは案外昔だった
チベット辺りでは2,000年ほど前から人とも共生するようになっていたこのヤク、日本にその温かく柔らかな獣毛が輸入されたのは戦国時代からだそうですから、500年以上の歴史があるんですね(@_@)
歴史ドラマが好きな方はひょっとしたらご存知かもしれませんが、武田信玄の兜にふさふさとウィッグのようになびいていたのは、白ヤクの獣毛でした。
戦国時代当時の日本では繊維として衣類にするのではなく、獣毛のまま装飾品として武士階級に愛好されていたようです。信玄だけでなく、徳川家康や石田三成なども「超高価なファッション」として権威を誇っていたのでしょう。
ヤクのニットはどう作られるの?
ウールになる羊の毛と言えば、バリカンで丸坊主に刈るイメージですが、ヤクの毛は櫛ですいて取れる、軟らかい部分だけを使います。
1頭から採れる毛は僅か100~200gと言われていますから、現在でも貴重品であることに変わりはありませんね。
ヤクの良さとは?
寒冷地で生息するヤクの毛が厳しい環境に耐えられるように保温性があるのは想像が付くかと思います。
しかしヤクの繊維が素晴らしいのは保温性だけじゃないんです。
実は通気性にも優れています。これはカシミヤよりも高い値を示していますから、温かくても蒸れることがないということです。
着心地
ヤクの繊維で編んだり織ったりしたものは、光沢があり軽く柔らかいのが特徴です。
動物性の繊維には「スケール」と「クリンプ」という要素があり、これが着心地や質感に大きく関わってきます。
「スケール」とはヒトの髪で言うところの「キューティクル」ですね。これが整っていると艶やかな光沢が生まれます。
「クリンプ」の方はやはり人の髪で例えると「ウェーブ」に当たります。ヤクの毛には自然なクリンプがあり、カシミアに比べるとやや強めにカールしています。
クリンプが強いほど毛糸や織物にした時には膨らみのある、ふかふかした感触が生まれるのです。
毛の細さも大切な要素です。
ヤクの毛は採取する方法がカシミアと同じで「櫛ですき取る」方法ですから、太く強い毛の下に生えている「産毛」の部分を取っていることになります。
ヤクの毛は14~20ミクロンの細さと言われており、一般的なウールの糸が20ミクロン以上であることを考えると、かなり細いですね。因みに繊維の宝石と呼ばれるカシミアは、平均で14~16ミクロンです。
ここまででヤクのニットはチクチクしない、軽くてふわふわで温かいのに蒸れない!という着心地の良さがお分かりいただけたでしょうか^^
利用のバリエーション
さて、ヤクの毛のもう一つの特徴にその長さがあります。
毛の1本1本が長いのです。
これは糸を撚る時にしっかりと絡み合うため、強い繊維が出来上がることを意味しています。
丈夫なヤクの毛は衣類だけでなく、玄関マットのような敷物にも利用されているのです。
摩擦にも強い性質で、毛玉ができにくく、長持ちすると言われています。
自然な色合い
ヤクは染色をしなくても、元からの個体差によるカラーバリエーションがあります。
白やベージュ、モカ、栗毛、グレー、黒などです。
この上に染色を施したものもありますが、天然の色合いもまた優しくて素敵ですよ。
ヤクのニットのお手入れ方法
動物性繊維は元々汚れが付きにくいという特徴がありますが、それでも洗わずにいれば虫食いの原因になったり、シミやニオイ、カビなどのトラブルにも遭遇します。
着用した後には必ずブラシをかけ、1日以上陰干しをしましょう。
家庭での洗濯は避け、ドライクリーニングをお勧めします。
上手にお手入れをすれば10年以上愛用できる丈夫なニットなのです(^O^)
ぜひお気に入りの一着を大切に、大切に長持ちさせてくださいね。
お洗濯やクリーニングのことなら、さくらクリーニングにご相談ください(^O^)/